S45Cの特徴と加工におけるポイント

S45Cの特徴や用途、性質、メリットデメリットについて解説しております。

S45Cは、炭素鋼の中でも中碳鋼（中間炭素鋼）の一種です。Sは鋼鉄（Steel）を示し、45は炭素含有率を示しています。
具体的には、S45Cの炭素含有率は約0.45％です。

S45Cは中碳鋼であり、強度と硬度のバランスが良く、機械的性質が安定しています。

熱処理によって硬化することができ、硬度を調整できます。 当社では、浸炭焼入れ・高周波焼入れにて硬度を調整します。

機械加工性が良いため、多くの用途に適しています。

S45Cは多岐にわたる産業での使用が確認されています。
具体的な用途としては以下のようなものが挙げられます。

• 一般機械部品: ボルトやナット、ピン、リンクなどの接続部品。
• 軸受け: 高負荷や高速回転を伴う機器や装置の主要な支点として使用。
• 歯車: 各種機械や装置の駆動伝達部において、高強度や精密な動作が求められる場面で使用。
• シャフト: モーターやエンジンの動力を伝達する主要部品。
• 工具: 手動や機械動作のカッターやドリル、刃物など。
• 自動車部品: エンジン部品、トランスミッション部品、シャシー関連部品など。
• 建設機械部品: クレーンのブーム、掘削機のアームやバケットなど、高い強度や耐久性が求められる部品。
• 農業機械部品: トラクターや収穫機、播種機などの動力伝達部や作業部。

S45Cは強度と硬度のバランスが取れており、熱処理によって硬度を向上させることができます。
耐摩耗性や靭性（ひずみに対する耐性）も優れています。
一般的な炭素鋼の中では耐食性はやや劣ります。

S45Cのメリットには、機械加工性が高く、多くの用途に適していることが挙げられます。
熱処理によって硬度を調整でき、耐摩耗性を向上させることができます 。

溶接性がやや低く、特に高強度を必要とする場合は適切な溶接方法を選択する必要があります。
酸化しやすいため、保管時には適切な環境管理が必要です。

• 浸炭焼入れを施すことで、表面の硬度は大きく向上します。浸炭後の焼入れを870℃～950℃の範囲で行い、その後760℃～800℃で焼き戻すことで、部品の表面は通常、HRC55～62程度の硬度を持つようになります。この処理により、部品の内部の靭性を保ちつつ、表面を耐摩耗性に富んだものにすることができます。
• 高周波焼入れを施すことで、局部的に部品の表面を硬化させることができます。部品の表面を800℃～950℃で急速に加熱し、水冷することで硬化させます。この方法での焼入れにより、硬度は通常HRC50～60程度になります。特定の部分、特に歯車の歯先やシャフトの摩擦部分など、摩耗に対する耐性が必要な部分をターゲットとして硬化させるのに適しています。

S45Cの一般的な表面処理をご紹介します。
※一部弊社で対応していない表面処理を含みます。

1. めっき処理

   • 亜鉛めっき (ガルバニゼッド): 腐食からの保護を目的とし、建設用資材、鋼構造物、電線部品などに使用。
   • ニッケルめっき: 摩擦性の低減や外観向上を目的とし、装飾部品や電気接触部品などに適用。
   • クロムめっき: 耐摩擦性を向上させるため、油圧シリンダーや自転車の部品などに使用。
   • カドミウムめっき: 耐腐食性や塩水への耐性向上のため、航空機部品や海洋関連の部品に適用。
   • 硬質クロムめっき: 高い耐摩擦性が要求されるピストンロッドやモールドに適用。

2. ブラック酸化 (ブラッキング)

   • 機械部品や工具で、外観の向上や軽度の防錆を目的とする。

3. ショットブラスト、サンドブラスト

   • 錆や塗装の除去、または表面の荒らしを目的として、鋼構造物や機械部品の前処理として使用。

4. 研磨・バフ研磨

   • 外観の美化や微細な傷の除去を目的とし、装飾部品や家具の金具などに適用。

5. フレーム処理

   • 油分や不純物の除去、特に塗装や樹脂成形前の下処理として使用。

6. テンパリング (焼き戻し)

   • 硬さを緩和し、部品の靭性を向上させる目的で、高い硬度と柔軟性が求められる機械部品や刃物に適用。

7. パス化処理

   • 腐食抵抗の向上を目的とし、特定の機械部品や繋ぎ手などに使用。

8. ペイント、塗装