精密金属加工とは?基礎知識と最新トレンドを紹介

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CC:樋口甲

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「精密金属加工とは何か」と聞かれ、説明に迷うことはありませんか?現代のものづくりにおいて、高精度な加工技術の需要が増加しています。この記事では、精密金属加工の基礎から最新トレンドまでをご紹介していきます。

精密金属加工とは?その定義と重要性

精密金属加工の定義(加工精度、対象素材など)

精密金属加工とは、金属素材に対して高い精度で切削、研削、塑性加工などを行い、設計図通りの形状や寸法、表面粗さを実現する加工技術の総称です。一般的に、公差が数マイクロメートル(μm)から数ナノメートル(nm)といった極めて微細なレベルで管理されるのが特徴です。

対象となる素材は、鉄鋼、アルミニウム、銅、チタン、マグネシウムなどの一般的な金属に加え、超合金やセラミックスといった難削材も含まれます。

なぜ精密金属加工が重要なのか

現代の製品は、より小型化、高機能化、高性能化が求められています。スマートフォン、自動車、医療機器、航空宇宙部品など、私たちの身の回りにある多くの製品は、精密金属加工によって作られた部品の集合体です。

例えば、スマートフォンの内部には、数ミリメートル以下の微細なコネクタや基板部品が数多く使われています。これらが正確に組み合わさることで、初めて製品として機能します。わずかな寸法のズレや歪みがあれば、製品の性能低下や故障につながりかねません。

このような背景から、製品の品質、性能、信頼性を確保するために、精密金属加工の重要性はますます高まっています。

一般の金属加工との違い

一般の金属加工と精密金属加工の最も大きな違いは、加工精度と求められる品質レベルにあります。

項目 一般の金属加工 精密金属加工
加工精度 ミリメートル(mm)単位 マイクロメートル(μm)〜ナノメートル(nm)単位
公差 比較的緩やか 極めて厳しい
表面粗さ 目視で問題なければ許容される Ra数μm以下など厳密に規定
用途 一般的な構造部品、大型部品など 高機能部品、重要部品、小型部品など


精密金属加工では、高精度な工作機械、精密な測定機器、そして熟練の技術者の経験と知識が不可欠です。

精密金属加工の種類と特徴

精密金属加工には、様々な加工方法があり、それぞれ異なる特性と得意分野を持っています。

切削加工(旋盤、フライス盤、マシニングセンタなど)

素材を切削工具で削り取る加工方法です。

研削加工(平面研削、円筒研削、内面研削など)

砥石を用いて素材の表面を微細に削り取ることで、非常に高い表面精度や寸法精度を実現する加工方法です。

放電加工(ワイヤ放電加工、形彫り放電加工)

電極と被加工物の間に発生する放電現象を利用して、素材を溶かしたり気化させたりして加工します。導電性のある素材であれば、硬度に関わらず加工できるのが特徴です。

レーザー加工

高出力のレーザー光を照射し、素材を溶融、気化、または熱変形させることで加工します。非接触加工のため、熱影響が少なく、微細な加工や難削材の加工に適しています。

その他の加工技術(研磨、エッチングなど)

それぞれの加工方法が適する用途と部品例

加工方法 適する用途・特徴 部品例
切削加工 汎用性が高く、多くの金属部品に適用可能 自動車部品、航空機部品、金型、医療機器部品など
研削加工 高い寸法精度、表面粗さが必要な部品 ベアリング、ギア、精密シャフト、光学部品の金型など
放電加工 硬い素材、複雑な形状、微細加工、熱影響を嫌う部品 金型部品、医療用インプラント、航空機エンジンの複雑部品
レーザー加工 微細加工、難削材、非接触加工が必要な部品 医療機器部品、電子部品、自動車部品、航空機部品など
研磨 鏡面仕上げ、超精密な表面が必要な部品 光学レンズ金型、半導体製造装置部品、医療器具など
エッチング 超微細なパターン形成、薄板加工が必要な部品 半導体集積回路、MEMSデバイス、プリント基板など



精密研削加工の実績

 

コアピン

材質はSKH51。サイズはφ4.5 × 164。外径研削加工後、製品部をRa0.01まで磨いたコアピンです。

スリーブピン

材質はSKD11。サイズはφ56 × 160。旋盤加工で内外径荒加工後、外径研削・内径研削で仕上げました。肉厚は1mm、公差0.01mmです。

偏芯ピン

材質はSKH51。先端長円形状部(約10mmの間)が、軸に対してX方向に‐0.012mm、Y方向に-0.08mm偏芯したピンです。砥石成形と砥石とワーク回転のNC制御で加工しました。

ダイインサート

材質はHAP40。サイズは60 × 34 × 20。平面研削盤による6面研削です。公差は±0.003mmです。

フォーミングマシン用パンチ

材質はHAP40。サイズはφ13 × 57。フォーミングマシンのバネ材切断時に使用するパンチです。

ネジスリーブ

材質はSKD11。中つば形状のネジスリーブです。ネジ部は研削仕上げです。

 

精密金属加工ならCHAMPIONにお任せください

CHAMPIONは、長年にわたり培ってきた精密金属加工の確かな技術と豊富なノウハウを活かし、お客様一人ひとりの多様なニーズに応える精密部品の特注製作サービスを提供しております。最先端の設備と、長年の経験を持つ熟練の技術者が連携することで、お客様のご要望を細部まで具現化し、高精度かつ高品質な部品製作を実現しています。どのような複雑な形状や厳しい公差が求められる部品でも、設計から製造、検査まで一貫して高品質を追求し、お客様のビジネスに貢献いたします。精密金属加工に関するご相談やお見積りは、ぜひCHAMPIONにお問い合わせください。


まとめ

精密金属加工は、現代社会のあらゆる産業を支える基盤であり、その重要性は計り知れません。スマートフォンから医療機器、航空機に至るまで、私たちの生活を豊かにする高機能製品の多くは、ミクロン単位の精度で加工された金属部品によって成り立っています。この技術は、単に金属を削るだけでなく、材料特性を見極め、最適な加工方法を選択する熟練の技術と、AIやIoTを駆使した最新鋭の設備が融合することで、初めて実現されます。高難度な形状や難削材の加工、そして超短納期への対応力は、製品開発のスピードアップと品質向上に直結します。未来のイノベーションは、精密金属加工の進化なしには語れません。私たちはこの技術を通じて、お客様の「不可能」を「可能」に変え、社会の発展に貢献し続けます。

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